自然石魚礁

天然の素材である石材や木材・土俵などを利用した漁場造りの歴史は数百年前までにさかのぼると言われていますが、全国の津々浦々に先人の経験則と知恵が凝縮された特色ある人工の漁場が造られ、その効果が広く認知されるようになり、やがては築磯という名称で人工魚礁事業として公共事業に取り上げられるようになりました。また、主に河川において「柴漬け」・「石塚」などの形態で営まれた技術が、海域の「網代(あじろ)」に活かされるようになり、これが発展して築磯となったとも言われています。いずれにしても、今日の我々があるのはこうした先人の努力によるところが大きく、敬意の念を忘れてはならないと強く思うと共に感謝の念に堪えません。

さて、この様に長い歴史を有する魚礁事業ですが、昭和20年代に入ってからは石材に加えてコンクリート製魚礁が登場し、試験事業が盛んに行われるようになりました。昭和30年代にはFRP・鋼材・タイヤなど多種な素材の魚礁が開発されるようになりました。その後、昭和50年代には沿整事業がスタートし、事業量は飛躍的に増大しました。ちなみに、当社の設立は昭和46年12月と、同事業前の時代であり、それから今日まで一貫して魚礁用自然石の提供を行ってきました。その後近年においては、設置場所の沖合化・大水深化・魚礁単体の大型化・多様化などが進み、人工湧昇流・人工海底山脈といったスケールの大きい事業がみられるようになっています。

こうした変遷の中で、弊社は魚礁事業に携わる多くの方は「いったい魚礁に最も適した素材は何だろうか?」という基本的な疑問を持ち続けているのではないかと考えます。漁業は経済行為であり、常に費用対効果、つまり収支のバランスが重要ですが、その時々の社会情勢によりバランスは大きく変動します。素材ではなく魚礁の単体構造や配置の方法も関係あるでしょうし、材料費の価格変更・需給バランスなどの問題もあることでしょう。
また、環境問題重視型の時代となれば「自然にやさしい素材」であることが優先され、環境への負荷が大きな素材は敬遠されるものと思われます。
とは言いましても、社会情勢はある意味気まぐれです。その時々によって価値観が変わることもありましょう。
しかしながら弊社は、「企業理念だけは、そう簡単に振れることがあってはならない」と考えております。

投入後約3年経過海底状況
投入後約3年経過海底状況
自然にやさしく
 
健全な食育のために
私ども(株)真興産業は安全な食のあり方、子供の将来を考えた良質な海からの恵み『魚』を食べる事を健全な食育と考えます。

自然石魚礁の優位性 自然石魚礁の特質お勧めする理由は特に次の5個の項目にあると考えます。

  1. 現在及び近未来において石材は断トツ1位の自然にやさしい素材である!!!

    現在及び近未来の社会では「自然にやさしい素材であること」が最優先されると予測しています。「やさしい」をどう理解するか多くの解釈があるかと思いますが、天然の素材であり、運搬や加工に要するエネルギー消費が少ないこと、有害物質の溶出など危険を伴わないことなどがクリア条件ではないでしょうか。もうこの時点で石材は他を大きく引き離して断トツ1位であると思っております。

  2. 石材は経済性に優れた素材である!!!

    いわゆる原材料を国外からの輸入に依存している素材は、今後、経済性の維持が困難な時代になると予想されます。特に鋼材はたいへん厳しくなるでしょう。リサイクルとかリユースとかいった資源の有効活用が政策的に後押しされる面もあるでしょうが、そうした素材は回収処理費用で割高になるものが多く、大量かつ安価で魚礁に使用できる決定的な素材はまだ見あたりません。これに比べますと石材は採石場から現場までの運搬こそ必要ですが、地元調達が可能なため経済性に最も優れた素材といえましょう。

  3. 石材の集魚効果は先人が証明済みです!!!

    魚礁に水産生物が集まることを多くの先人が知ったのは、石塚は柴漬けなどが最初であろうかと思います。アワビ・サザエ・イセエビ・ナマコなどを対象とした漁場造成では、今日でも石材は最も高い評価を受けています。大きな石材で形成された隙間にイセエビなどが集団で成育している映像はめずらしくありません。数百年前から先人に利用され、その評価が現在でも変わらぬことを大変誇らしく思っています。マダイ・ヒラメといった底生魚類の増殖場、メバル・カサゴ・クロダイなどに対しても高い設置効果が確認されています。

  4. 操業性にも優れ漁具の掛りも皆無です!!!

    漁業者から魚礁に対する「魚礁は漁具が掛るから利用しない」という否定的な意見を耳にします。これは近年の高層魚礁では内部空間が複雑化しているため、このようなマイナス要因を助長している部分があります。コンクリートや鋼製魚礁ではどうしても針が掛りやすい、糸が切れ易いなどの弱点がありますが、石材ではそうした懸念はほとんどありません。石材魚礁は操業性にも優れているのです。

  5. 弱点もありますがむしろ自然素材の優位性と捉えています!!!

    良いことづくしのような石材ですが、ただひとつ弱点があります。それは成形が困難なことです。近年は魚礁メーカーが型を競ってきた時代とも言えますので、石材は少しばかり脇役扱いされてきたように思えます。しかし、そのことへの焦りは全くございません。多くのメーカーの魚礁はいわゆる幾何学模様状の直線・曲線ラインからなっています。生物はそうした規則性のある構造物より、むしろ不規則的な形状の構造物を好むことが最近の研究で明らかにされつつあります。これは小川のせせらぎ・波の音・不規則な流れなど自然界に存在する「1/fゆらぎ」の法則であり、現在は人間や生物に安らぎを与えてくれるこの不思議な法則の応用が進んでいます。自然石魚礁の一見乱雑にも見える積み重なりは、流体力学的に不規則な流れを発生させ、水産生物に心地良い空間を与えているのではないかと思われます。ランダム性が産み出す偶然の結果も自然石魚礁の特典ではないでしょうか。

手前勝手な論理を述べてまいりましたが、水産国である限り魚礁事業は不可欠であることに間違いありません。これから時代の変化等で動き行く魚礁事業に椛島産自然石をお使いいただけるよう、満身努力いたします。未来へ続く企業として…。

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